このソフトは
- CPU: 68020 以上 (FPUはなくてもいいはず), PowerPC シリーズ
- Operating System: Mac OS 7.5 以上 (要 Thread Manager)
で動作します。Fat Binary ですので、68K Macintosh と Power Macintosh のいずれでも最適に動作します。開発は 9500/200 と 7600/200 (共に Mac OS 8J) で行っており、7100/120 (Mac OS 7.5.3J) での動作確認はしていますが、68K Macintosh での動作は確認しておりません。また、System 7.1 でも動作する可能性はありますが、確認はしていません。
実行結果の例は こちら を御覧ください (17KB)。
※ ダウンロード
※ 使用方法
起動すると、結晶構造や RHEED 条件に関する設定を行う ダイアログ が出ます。
ここでは各設定値の簡単な意味、入力制限を述べます。
- Crystal Structure
- Structure:
- 結晶構造を指定します。現時点では、単純立方格子・面心立方格子、体心立方格子、単原子ダイヤモンド構造を選択できます。
- Lattice Constant:
- 格子定数を入れてください。デフォルトで指定されている値は Si のものです。
- Inner Potential:
- 結晶の実効的な内部ポテンシャルです。電子線は結晶内部でこのポテンシャルの影響を受けて波数が変わります。この値を 0 以外にすることは屈折効果を考慮することに相当します。デフォルトで指定されている値は Si のものです。
- Surface
- Index:
- 面方位を指定します。h, k, lとも -99 から 99 までの整数値が指定可能です。
- Incident Electron
- Azimuth:
- 電子線の入射方位を指定します。必ずしも表面に平行な方向を指定する必要はありませんが、表面に垂直な方位は指定できません。面方位同様 -99 から 99 までの整数値が指定可能です。
- Azimuth Off Angle:
- 上記方位角からのずれの角度を指定します。
- Glancing Angle:
- 電子線の入射視射角を指定します。
- Electron Energy:
- 入射電子線のエネルギーをKeVで指定します。
- Drawing
- Camera Length:
- カメラ長を mm 単位で指定してください。
- Index Range:
- どの範囲の指数まで考慮するか指定してください (1〜99)。大きい値を指定するときはアプリケーションが使えるメモリを増やす必要があります。
- h+k+l >:
- Index Range の指定に関わらず h+k+l が指定した値より大きな面は考慮しません。例えば 400 は表示したいが 444 は表示して欲しくないときに使えます。指定範囲は3から100です。
- Resolution:
- 菊池線の結晶内部での出射角の計算単位を指定します。通常は 1000 (すなわち1度単位) で十分ですが、細部を拡大して折れ線が気になるときは値を小さくしてください。但し、計算時間・メモリ使用量とも大きくなります。
- Ignore Kinematical Extinction Law:
- チェックすると運動学的な禁制反射 (螺旋軸・映進面による消滅則) を無視します。すなわち、ダイアモンド構造は面心立方格子と同じ扱いになります。
- Suppress Defect Lines:
- チェックすると暗くなる菊地線を表示しません。但し、テキスト保存時のデータには暗線も含まれます。
- Mark Specular Spot Position:
- チェックすると、入射電子線の視射角に対応する鏡面反射点を図示します。
- Show Line Indexes:
- チェックすると、菊池線の指数を表示します。線が多いと重なってしまうので、通常は消しておいた方がよいでしょう。
- Show Parameters:
- チェックすると、計算に用いたパラメータを結果のウィンドウに表示します。
- Buttons
- Revert to Default:
- 全体の設定を標準値に戻します。
- Save as Default:
- 現在の設定を標準値として記憶します。
- Cancel:
- 計算実行はしません。
- Draw...:
- 計算実行を始めます。
<Draw> ボタンを押すと計算を開始します。計算の状態はウィンドウ上のプログレスバーに表示されます。計算を中断したいときはウィンドウ内の <Stop> ボタンを押してください。パラメータの再設定はウィンドウ内の <Param> ボタン或いは Simulation メニューの Parameters で行えます。
計算は複数同時に行うことも可能です。また、計算中に他のアプリケーションに切り替えて別の作業を行うことも可能です。
計算結果は Kikuch Lines 書類 (独自形式) として保存できる他、File メニューの Export で PICT 或いは TEXT 形式で書き出すことも可能です。Kikuch Lines 書類で保存しておくと、同じパラメータでオプションを変更して計算しなおすことが可能です。また、ウィンドウ内の図をそのまま Drag&Drop で他のアプリケーションに張りつけたり、Finder のクリッピングファイルとして保存することも可能です。但し、Drag&Drop を使うためには Macintosh Drag&Drop がシステムにインストールされている必要があります (7.5以上を使っていれば普通は入っているはず)。
TEXT 書き出しの場合、最初の三行はパラメータ情報、それ以降が線のデータになります。各行には行の持つ意味を示すマーク、規格化された結晶構造因子(負は暗線)、菊池線の指数 (h, k, l)、各点の座標 (x1, y2, x2, y2...) が入っています。またこのときの座標値は mm 単位、原点は鏡面反射スポットからシャドゥエッジに下ろした垂線の足です。マークは、*** が菊池線、... が一旦画面の外にはみ出た線が再び画面内に戻ってきたとき、SpS が鏡面反射スポット位置、を意味します。
もちろん計算結果は印刷することも可能です。他のソフト同様 File メニューの Print を試してください。印刷は図面を紙の真ん中に配置するように行います。また、印刷結果は指定したカメラ長に対応する実サイズになっているはずです。
※ オプション設定
File メニューの Options で、各種の設定が可能です。以下はオプション項目の簡単な説明です。
- Draw Options
- Canvas Size:
- 描画を行う画面のサイズをピクセル単位で指定します。幅 (W) は 400 から2000、高さ (H) は 100 から 2000 が指定できます。
- With Colors:
- チェックをはずすと白黒表示になります。但し、保存される PICT データはカラーになります。
- Colors:
- 描画に用いる色を指定します。色の部分をクリックすると色指定ダイアログが現れます。
- Save Options
- Save PICT as:
- PICT ファイルのクリエータ (ダブルクリックしたときに開くアプリケーションソフトの識別コード) を指定します。クリエータコードがわかっていればテキストフィールドにクリエータコードを直接入力します。コードが不明なときは <Choose> ボタンを押して、対象となるアプリケーション或いはそのアプリケーションで作った書類を指定します。Finderから対象となるアプリケーション或いはそのアプリケーションで作った書類をテキストフィールドに Drag&Drop することも可能です。
- Save TEXT as:
- TEXT ファイルについて上記同様の指定を行います。
- Delimiter:
- TEXT 書き出し時の項目区切り記号を TAB コード・コンマ・空白の中から指定します。表計算ソフトなどへデータを持ち出すときは TAB が便利でしょう。
- Newline:
- TEXT 書き出し時の改行コードを Mac 形式 (CR)・MS-DOS 形式 (CR+LF)・UNIX 形式 (LF)の中から指定します。
- Buttons
- Factory Setting:
- 設定を初期状態に戻します。
- Cancel:
- 設定変更を取りやめます。
- OK:
- 設定変更を記憶します。
なお、オプション設定は、設定変更後に新たに開いた書類に対してのみ有効です。
※ 一般的注意
このソフトはフリーウェアです。但し、著作権は中原仁が保有しています。個人的な利用以外で本ソフトウェアおよび付属の文書を無断で転載、改変、配布などを行うことはご遠慮下さい。
本ソフトの計算の結果生じるあらゆる損害、あるいはソフトウェアの不具合によるソフト的ハード的損害に対し、作者は一切の補償をいたしません。使用の際はご自身の責任においてお使いください。
このプログラムは RHEED について十分な知識がある方がご利用下さい。これらの知識が十分でない方は、まず各種の電子回折、表面物性の教科書をご覧下さい。意味も分からずこの手のソフトを使用することは極めて危険です。また、このソフトを用いた計算結果を実験レポートなどに使用することは禁止します。
このプログラムのソースコードも同じWebページにて公開しています。これらのコードは個人的な利用の範囲内で改変使用して構いません。但し、改変したアプリケーション且つ或いはソースコードを無断で公開することはご遠慮下さい。また、ソースコードの内容に関する質問はお受けしかねます。なお、このソースコードをコンパイルするためには Metrowerks CodeWarrior Pro for Macintosh と PowerPlant が必要です。
作者への連絡先 nakahara@nuap.nagoya-u.ac.jp [中原 仁] (@が全角になっています)
名古屋大学 工学研究科量子工学専攻/工学部応用物理学科