PlotDigitizer
User's Guide

目次


概要

PlotDigitizerとは

PlotDigitizerは、印刷したりPDFになってしまって数値としての情報を失ってしまったグラフから、値を読み込むソフトです。数値化したデータは通常のグラフソフトで読めるテキスト形式ですので、古いグラフを再構成したり、最新データと並べて比較したりすることが可能になります。かなり以前に DataThief というフリーウェアがあったのですが MacOS X で動作するものが欲しかったので自作しました。
PlotDigitizerは対数グラフはもちろん、スキャンの際の回転や傾き、プロジェクタで投影した際の台形歪みなどが入ったグラフでも正しく値を読むことができます(樽型歪みなど非線形な歪みには対応していません)。また、局座標読み込みにも対応しています。但し、DataThiefやFlexiTraceが持っていたライントレース機能は持っていません(相当インテリジェントにつくらないと結局はちゃんとトレースできないことが多いので、この機能は将来も付けないと思います)。

動作環境

OS条件:
MacOS X。CarbonアプリケーションなのでMacOS 9以前の環境でも多分動くと思いますが、動作検証も行っておりませんしサポートもしませんのでご了承下さい。最新版の動作チェックは10.2.4で行っています。なお、Classic MacOSで作業するときはアプリケーション使用メモリ量の調整が必要になる場合があります。
ハードウェア条件:
上記OSを実行可能なMacintosh。

使用条件

作者の連絡先及び最新版の入手先

作者の連絡先
nakahara@nuqe.nagoya-u.ac.jp
最新版の入手先
http://www.surf.nuqe.nagoya-u.ac.jp/~nakahara/software.html

使用方法

画像データの準備

使用可能な画像フォーマットは PICT のみです。ファイル名には pct 或いは pict の拡張子が付いている必要があります。PICTファイルであれば色数、解像度などに制約はありません。当方では Adobe Photoshop のPICT保存したデータで検証しています。
画像サイズはグラフの短辺が1000〜1500ピクセル程度になるように読み込むのがベターです(10cm角のグラフなら300dpi程度)。
画像データが準備できたら、画像を PlotDigitizer に Drag&Drop するか、アプリケーションを起動してオープンダイアログで画像データを選択して開きます。画像を開いた直後のウィンドウの一例を以下に示します。

軸の設定

オレンジ色で示されているのが現在の軸です。ラインの部分を持つと移動、アンカー(□或いは○の部分)を持つと方向と長さが変わります。
Axis Type のメニューでは、Rectangle(長方形)、Parallelogram(平行四辺形)、Quadrangle(四角形)、Polar(局座標)を選択できます。Rectangleは二つの軸が常に直行します。Parallelogramは二軸が直行しない場合やスキャンで傾斜が入ってしまった場合に用います。Quadrangleはグラフの対向する二辺が平行でない場合(台形歪み)に使用します。
Connect Axes のチェックを入れると二軸の最小点(○のアンカー)が常につながった状態になります。上図の例のように原点がグラフの枠線からずれている場合にはチェックしないようにします。
X/Y Axis の Min/Max Value には指定した軸の最小点と最大点の値を入力します。それぞれの Log Scale にチェックを入れると対数として変換します。言うまでもないことですが、対数のチェックを入れた場合には最小・最大点は0以下の値をとることはできません。
右側の Save as Default ボタンを押すと現在の状態がデフォルトになります。複数のグラフを同一の条件で読み込みたい場合に使用します。
Factory Setting のボタンを押すと、最初のデフォルト設定の状態になります。但し、この状態を保存するわけではありませんので、Factory Setting をデフォルトに戻したいときには、更に Save as Default ボタンを押す必要があります。なお、軸の位置は軸の種類(Axis Type)或いは Connect Axes の状態が変わるとグラフサイズに応じてリセットされます。
グラフ右側の拡大・縮小ボタン或いはスライダを移動させると画像のスケールを変えることができます。適宜拡大して作業をしたほうが精度の高い読み込みが行えます(拡大状態を解除しても設定位置が丸められることはありませんが、表示上はピクセル単位で丸めが入ります)。
拡大した状態で option キーを押すとマウスが手のひらになり、グラフをつかんでスクロールすることができます。もちろん、スクロールバーも使えます。
軸設定を行った例を下図に示します。

データの読み取り

軸の設定が完了したら、下方の Digitize Plot Data のタブをクリックし、データの読み込みモードに入ります。
デフォルトではマウスの位置にx/y軸のガイドが表示され、現在座標が左下に表示されます。ガイドは Show Guide Lines のチェックによって適宜 on/off できます。
グラフ上の読み取りたい点の上でマウスボタンをクリックするとその位置の数値が読み込まれ、右側のリストに表示されます。グラフの拡大・縮小、スクロールについては軸設定と同様に行えます。以下にいくつかの点を読み込んだ例を示します。

右側のリストで選択されている点は赤色で、その他の点は青色で表示されます。リストをクリックして選択点を変更することも可能です(複数選択はできません)。
データ点を追加する際にshiftキーを押していると、選択した点に対して同一の x或いはy軸を保ってデータの追加を行うことができます。固定される座標がxかyかは Restrict X/Y Axis のボタンで選択できます(局座標の場合にはR/θになります)。この場合、マーカーは表示拡大率におけるピクセル単位の位置で追加されるため、固定した座標の値が実際には若干ずれることがあります。
既存の点を移動したいときは、controlキーを押しながらマーカーを移動してください。2ボタンマウスを用いている場合には右クリックが使えます。右クリックは単にマーカの選択にも使えます。
既存の点を削除したいときは、その点を選択し、Clear Selected ボタンを押してください。警告は表示されずに直ちに削除されるので注意してください。
読み込んだ点をすべて破棄したいときは Clear All Data ボタンを押してください。この場合は本当に消してよいかどうかを確認するダイアログが出ます。
読み込んだデータをX座標或いはY座標でソートすることが可能です。リスト下側の Sort by X/Y のボタンを押してください。
データを読み込んだ後で軸設定を変更することも可能です。この場合、データの座標は新たに設定した軸を元に再計算されます。但し、軸設定が不正な場合や、マーカー位置が特異点にある場合には全部或いは一部のデータが失われます。

データの保存

読み込んだデータを保存するには、ファイルメニューから保存を選択するか、command-Sキーを押します。データは常に save as (別名で保存) になるため、ファイル名の入力を毎回求められます。PlotDigitizerは複数のデータ系列を扱うことはできないため、複数のデータ系列を読み込む場合には一つの系列を保存した後、読み込んだデータを削除(Clear All Data)して次の系列を読み込みます。なお、データの保存は軸設定やオプション設定モードでは行うことはできません。
保存したデータはタブ区切りのテキストファイルです。テキストエディタでの編集の他、KaleidaGraph等一般のグラフ作成ソフトでそのまま読み込むことが可能です。

オプション設定

下方の Options タブをクリックするとオプション設定が可能です。以下はパネルの一例です。

Axis の欄では、軸設定時に用いるアンカーのサイズ、軸の色、アンカーを塗りつぶすかどうかを指定します。
Data Plot の欄ではマーカーのサイズ、線の幅、マーカを塗りつぶすかどうか、非選択および選択したマーカの色、マーカー同士を線でつなぐかどうかを指定します。
軸設定同様、現在の状態をデフォルトにするには Save as Default ボタンを押します。また、最初のデフォルト状態に戻すには Factory Setting ボタンを押します。
以下に、Plot Size, Fill Data Points, Connect Data Points を変えた場合の例を示します。

以上で解説は終わりです。不明な点、間違っている点などありましたら上記の作者までご連絡ください。