RHEED Converter X の使用方法

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はじめに

RHEED Converter X はRHEED (Reflection High-Energy Electron Diffraction: 反射高速電子回折) パターンを二次元の逆格子図形に変換するプログラムです。 本プログラムはRHEEDを用いて表面構造の解析を行う時に有用です。 本プログラムはMacOS Xがサポートする様々な画像ファイル(TIFF(8/16 bits), JPEG, PICT, BMP, PDF 等)を読み込む事ができます。 また、変換したパターンは TIFF, JPEG, PNG の画像フォーマットで保存する事ができます。

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RHEED パターンの読み込み

プログラムを起動すると以下のような空白の書類が開きます。

ここにRHEEDパターンを読み込むには以下のような複数の方法があります。

最後の二つの方法は新規の書類を作成してそこに画像を読み込みます。 これらの方法はすべての画像フォーマットには対応していませんが、最初の5つの方法はMacOS Xがサポートするすべての画像フォーマットを利用できます。 RHEEDパターンを読み込んだ書類は下図のようになります。

画像は元の解像度に関わらずピクセル等倍を100%として表示します。 画像の表示サイズは左下の拡大縮小スライダかその横のテキストフィールドに拡大率を入力することで変更可能です。 スライダは0.2から2倍(正確には1.995倍)までの範囲で動きますが、テキストフィールドには0.1〜4までの数値が指定可能です。 画像中には緑色で描かれた線と丸がありますが、これらはガイドと呼びます。 ガイドの使い方は後述します。 ガイドが見にくい時は [ガイドの色] で好きな色を選ぶ事ができます。

ガイドの調整をする前に [蛍光板の傾斜角] (単位は度)を指定しておく必要があります。 角度の定義は下図のようになっています。 なお、通常のRHEED測定条件(傾斜角数度程度以下)では、この設定はほとんど影響はありませんので0度のままでも構いません。

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パターンとガイドの調整

上図からもわかるように、RHEEDパターンは若干傾斜がかかっていることがよくあります。 まずこの傾斜を回転角のスライダかその横のテキストフィールドで補正します。 スライダは±5度の範囲で動きますが、テキストフィールドでは-180〜180度の値が指定可能です。 回転の補正には垂線ガイドを利用すると良いでしょう。

上図に示したようにガイドは5つのパートからなっています。

シャドゥエッジガイド
この線はシャドゥエッジに相当する位置を表します。 一般にRHEED図形中のシャドゥエッジ位置は明確でないことが多いので、パターンからこの位置を決めるよりはラウエゾーンなどから決めるほうが正確です。 この線は垂直方向のみ移動します。
垂線ガイド
これは垂線(表面垂直方向の線)を表します。 この線は必ず鏡面反射スポットを通ります。 この線は水平方向のみ移動します。
原点マーカ
これはシャドゥエッジと垂線の交点です。 この点は任意の位置に移動できます (言うまでもなく同時にすべてのマーカが移動します)。
鏡面反射スポットマーカ
この点は鏡面反射スポットの位置です。 この点は可能な限り正確に鏡面反射スポットに合わせてください。 この点は垂直方向のみ移動します。
0次ラウエゾーン
この円は電子線が対称入射であれば0次ラウエゾーンと一致します。 対称入射の時はラウエゾーン上の点がすべて円弧上に並ぶようにシャドゥエッジを調整すると正確なシャドゥエッジ位置を決定することが可能です。 なお、この円自体は直接移動することはできません (鏡面反射やシャドゥエッジ位置に応じて移動します)。

正しく位置調整されたガイドは以下のようになります。

次に電子線の入射視射角とカメラ長を入力します。 それぞれの単位は度とピクセルです。 カメラ長が不明な場合には、まず同じ条件で撮影した入射視射角がわかっている写真(RHEEDパターンから視射角を求めるために同じ作者が作成したKikuchiLines Xというソフトを用いることもできます)を用意し、その写真でガイドを合わせて視射角を入力します。 視射角を入力するとカメラ長は自動的に計算され、同条件の他の写真のカメラ長もわかります。 一旦正しいカメラ長を決めた後は、ガイドの位置から視射角は自動的に計算されます。 最後に説明する環境設定を用いて、現在のカメラ長の設定をデフォルトにすることができます。

もしガイドを動かしすぎてパターンから外れてしまった場合には、パターンをctrl-クリック(或いは右ボタンクリック)してコンテキストメニューから [ガイド位置をリセット] メニューを選んでください。

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変換条件の設定

変換を行う前に変換条件の設定を行います。 一つ目は縦方向の拡大率です。 一般にRHEED図形を逆格子変換すると縦方向がかなり縮んだ状態になり、パターンが見ずらくなります。 このようなとき、縦方向を数倍することで変換結果が見やすくなります。 例えばここで2を指定すれば変換結果の軸の長さの縦横比が2:1になります。 2.5のような小数値でも構いません。

全体の拡大率はメニューから選択します。 これが1のとき、変換結果の画像の横幅は変換前のものとほぼ同じになります (画像の原点位置によって変化します)。 画面で見るだけなら等倍でも構いませんが、印刷目的で使用する場合には4倍などにしておくと良いでしょう。 なお、あまり大きな値を指定すると警告が出ることがあります。 警告が出ても計算は行えますが、変換時間やメモリを大量に消費することになるので注意してください。

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変換

右下の [変換] ボタンを押すと変換を開始します。 変換中、このボタンは [中止] ボタンになり、作業を中断することもできます。 変換後の書類は以下のようになります。

変換後の画像も元の画像同様拡大表示スライダとテキストフィールドで表示倍率を指定できます。 上図に示したように、変換結果には逆格子軸が表示されます。 この表示は右側の [軸を表示] でON/OFF可能です。

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ポイントマーカ

本ソフトは変換前と変換後の点の対応を表示するマーカを入れることができます。 変換前或いは変換後のパターン上でcmd-クリック(コマンドキーを押しながらクリック)すると、クリックした位置と他方の画像の対応する点に赤色のマーカが表示されます。 Shift-cmd-クリックするとマーカを追加できます。 マーカの色やサイズは下方のカラーボックスやテキストフィールドで指定可能です。 なお、マーカサイズは等倍表示の時の半径(ピクセル単位)です (小数可)。 [マーカ消去] ボタンを押すとマーカをすべて消去します。 一部マーカのみの編集機能はありません。 以下にマーカを入れた例を示します。

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画像の書き出し

変換前後の画像は以下の3つの方法で他のソフトに渡すことができます。

書き出す画像にガイドや軸、マーカを入れるかどうか指定することも可能です。 コピー&ペーストとドラッグ&ドロップの場合には次節で述べる環境設定でこれらの設定を行います。 ファイルで保存する場合には保存ダイアログに選択肢が表示されます。

画像をファイルとして保存するには、[ファイル] メニューか画像のコンテキストメニュー(ctrl-クリックまたは右ボタンクリック)から [変換前/後の図形を保存] メニューを選びます。 上記の選択肢の他に画像のフォーマット(TIFF/JPEG/PNG)とそれらのオプション設定が表示されます。 TIFF/PNGの画像形式の場合には画像の情報が失われることはありませんが(非圧縮或いは可逆圧縮)、JPEGは画像の情報を一部捨てることになります(非可逆圧縮)。 一方、TIFF/PNGはファイルサイズが大きく、JPEGはこれらの数十分の一のサイズにすることができます(サイズは品質設定に依存)。

なお、本ソフトは印刷機能は有していません。

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環境設定

以下の環境設定ダイアログは [RHEED Converter X]-[環境設定] メニューで表示できます。 ここでは新規書類の初期設定やコピー時のアクション設定などを行います。

変換と表示の初期設定に使われている項目の意味は上記で説明した書類の設定と全く同じです。

これらの他に「画像コピー、ドラッグ時の設定」があり、ここではコピーした画像にガイドや軸、マーカを表示するか否かを選択できます。

[現在の書類の設定を使用する] ボタンを押すと、最前面の書類で設定している値を読み込みます。 [初期設定値に戻す] ボタンを押すと、すべての設定を最初の状態に初期化します。

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